旭川市議団は埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故を受け、国が下水道管老朽化の問題に対し、地方自治体に財政面含め総合的な支援を求める意見書を第1回定例会に提案し、全会一致で採択。
今回の市の補正予算では、国の「大規模下水道管路特別重点調査等事業」を実施し、調査費用と施設の異常が判明した場合の緊急改築費が含まれています。
財源は市議団が求めた国からの2分の1の補助が充当されています。
議会報告
帯状疱疹ワクチン助成実施:市民や共産党の提案実る
党市議団は、今津市長に対し帯状疱疹はワクチンが高額なため、旭川市が助成して市民の健康を守ることを求めてきました。新日本婦人の会も帯状疱疹ワクチンの助成を要望してきました。
今年度から国の定期接種化が始まり、対象者は免疫の機能に障害がある60~64歳の方、今年度から5年間経過措置として、年度内に65歳になる方、70歳、75歳と5歳刻みで、100歳以上の方については、2025年度に限り全員対象。
非課税世帯は料金の負担はありませんが、課税世帯は自己負担が発生します。これまで市は生ワクチン4,860円、組換えワクチン18,060円と自己負担額を設定していました。しかし、他市と比較しても高額であり、組換えワクチンは2回接種するため、医師会から負担が高額であると意見が寄せられました。
そのため、旭川市は補正予算で生ワクチン4,400円に、組換えワクチン11,000円に引き下げを提案。臨時議会が流会になったために、専決処分で決定しました。
強引な議会運営や差別発言:何故起きた議会の混乱
議会の混乱が起きた原因は、福居秀雄議長・中村のりゆき副議長が辞任手続きを完了した後に、強引に「辞任撤回」をしたことにあります。特に福居議長のこの間の強引な議会運営や差別発言は目に余ります。
4月9日、旭川市議会の議場に初めて国旗・日の丸が掲揚されました。日の丸掲揚は、昨年10月に陳情がわずか1票差で採択。その後、各派会長会議で議論し、一致せず終了しました。
議長は議会の合意形成を十分はからず、国旗掲揚を強行。また、根拠とした地方自治法104条の事務の統理は、議会事務局が行う事務処理であり、政治判断は含まれていないため、越権行為であることが明らかです。
このような中で野党全員が議長不信任の動議を提出、1票差で否決となりました。このときの質問と討論で、自民会派が「各派会長会議は非公式、偉い人の密室協議」と批判したために、その後、各派会長会議が開催できなくなりました。
さらに議長は、4月25日の旭川地区保護司会定期総会の情報交換会で、来賓として挨拶に立ち、議長不信任の提出者を「赤い人」という趣旨の差別発言。民主、共産、市民、無所属横山議員の15人が抗議、謝罪・撤回を求める意見を5月1日に提出しています。
「辞めるのやめた」で議会流会:議長・副議長が突然、辞意の撤回
党利党略で議会は大混乱:辞意の撤回は無効
旭川市議会では、福居秀雄議長、中村のりゆき副議長が8日の議会運営委員会(議運)で辞意を表明し、議運代表者会議を3回行い、選挙の詳細な投票方法まで定め、辞任手続きは完了していました。しかし、福居氏、中村氏ともに、13日の議運で突然、辞意を撤回したために、議会は大混乱となりました。
議運が断続的に開かれ、14日の臨時議会の開会に間に合わせようとしましたが、深夜の24時までかかっても調整できず、時間切れとなり、第3回臨時会が流会となりました。市は緊急性のある補正予算は専決処分で決定しました。
議会が流会になったのは1997年第二回定例会が、当時の大西正剛議長が辞任しなかった時以来28年ぶりです。当時の自民会派が、2年で交代するルールを慣例として非公式に定めました。
28年前は最初から辞めないと言ってもめました。今回は、辞めると言って辞任手続きが完了し、再び選挙で勝てると思っていたところ、負けそうなので「辞めるのやめた」というものです。
日本共産党はじめ野党各党と無所属は、議会を開くために努力しました。しかし、自民会派が、「辞めるのやめた」理由となっている「各派会長会議」を「公式な会議」と明言することに抵抗したために、時間切れとなりました。
議会は流会になりましたが、帯状疱疹ワクチン接種の助成と下水管調査の費用については、緊急性があり、日本共産党が要望してきたことでもあり、事業執行に影響がないように市の専決処分に協力しました。
今回の議論では、辞任手続きが完了した後の辞意の撤回は無効なのではないか、などの論点が残りました。議運は継続審議となり、正副議長も含めて議会人事の議論は持ち越しになっています。

すぐに物価高騰対策が必要!:能登谷繁 議員(補正予算質疑)
能登谷繁議員は2月21日、補正予算の本会議質疑に立ちました。
2024年度最後の補正予算ですが、旭川市独自の物価高騰対策がほとんどないことが判明しました。せっかくの国から物価高騰対策の交付金を5億8千万円も残し、周辺の町8町全部で福祉灯油を実施しているのに旭川市は今年度実施しないことが明らかになりました。北海道消費者協会が灯油価格の2月の全道平均価格が調査開始以来、最高値の131円を超える事態になっていると発表しました。しかし、旭川市は福祉灯油を実施せず、「住民税非課税世帯に1世帯当たり3万円の給付金が支給される、総合的に判断し、福祉灯油購入助成を見送った」と答弁しました。
能登谷議員が、「周辺8町も同じ3万円給付がありながら、灯油の高騰にも配慮して福祉灯油を実施した。旭川市だけ冷たい対応なのはいかがなものか」と追及すると、「物価やエネルギー価格の高騰による市民生活や経済活動等への影響を注視し、必要に応じて対策を検討してまいる」と述べて、新年度での対応に含みを残しました。
能登谷議員は、「新年度予算では遅すぎる。いま物価高騰に苦しむ市民や事業者への即効性ある対応をするべき」と指摘しました。

いじめ「旭川モデル」の見直しを:中村みなこ 議員(予算質疑)
再調査報告書を受け包括的性教育がスタート。大変嬉しいことです。現場の負担に配慮しつつ、保護者、市民への周知を求めました。また、市は「旭川モデル」のもと、いじめ認知件数が大幅に増大し「見逃しゼロ」につながりつつあると言いますが、それは日々の現場の負担の上に成り立っています。聴き取りや指導の他に報告、会議、記録、電話連絡等、関連する時間と労力は相当なものです。子どもたちに向き合いたい、教材研究に充てたいというのが現場からの切実な声です。子どもたちへの悪影響が心配されます。友達間での間違いや失敗=いじめとなるため、学校は失敗が許されない空間になっています。
また、いじめは先生が対応するので子どもたち同士で対話して解決する機会が失われています。こんな「旭川モデル」は胸を張れるものではありません。予算をかけて現場に人を増やす、先生方がじっくりと子どもと関われる、包括的性教育・人権教育が子どもだけでなく市民にも浸透する取組、これらがそろった「旭川モデル」にすべきと訴えました。教育長からは、「学校の負担軽減の人員体制の強化、生命と尊厳を守り安心安全な環境の実現を目指す」と答弁がありましたが、旭川モデルの抜本的な見直しが必要です。
